…「四日間の奇跡」

何でも「気付くこと」が大事だなぁと思った。
とりあえず、今自分が手にしているもの(※手に入れてないものではなく)を指折り数えてみた。
・家族(特に双子と夫は本当に神様からのギフトだと思われる。)
・友人達。
・住む場所。食べ物。
・とりあえず五体満足な体…。自分の事(排泄とか)が自分でできる脳みそ。
そう考えると、悩む事なんて全然ないじゃんか〜!と思えた。どこに視点を置くかなだけなのね。「ものは考えよう」だ。
この本のタイトルについては、最初は「奇跡」というか「試練」じゃないか?と思った。特に真理子という人物の試練。彼女のエゴとストレスが爆発!のシーンがあるんだけど、一読者としても現実の理不尽さが痛かった。彼女がすごくいい人で過去に苦労してガンバってきただけに…。
でも、このシーンが実はすごく好き。そうでなきゃ嘘だ!と思うから説得力がある。それに、いくらエゴでも醜くても、それはそれでい〜のだ。それより、そこで自分の醜さに苦しめる人が好きだから。人間の愛おしさみたいなものまで感じた。
他に印象的だったのは、「自分に価値を認めないのは、もう止めた方がいいわ。それ癖になっているのね。」という言葉。自分の良くない癖なんかも自分で気付かないと。それに、自分が手にしている幸福みたいなものも、自分で気付いてやらなけりゃ、無いのと一緒なんだよね…。
私も自分の価値を認めてあげたい。
それと、「ただパパとママの前で胸を張れる。それだけでいいんだって気付いただけ。」死を前に、未練はあるけど…と続く言葉。そうか…そうかもしれないなぁって思った。とってもシンプルだけど、死後、両親の前で胸が張れる…そんな生き方がしたいなぁと思った。
ただ、あとがきにもあるように、この作品には弱点がいくつかあるとは思う。それでも新人とは思えない力があって、一日で一気読みをさせる魅力があった。
それに、ピアノを弾く快感も疑似体験できて気持ちよかった〜。千織も可愛かったなぁ‥。脳に障害があっても、それが何だろう?と思わせる魅力があった。
それと、才能があるのに失われる事…想像もつかない。もちろん主人公・敬輔の試練の物語でもあったんだよね…。それがラストには奇跡になっていく。その流れの中で、ひとつでも踏み間違うと陳腐に安っぽくなるところを、ギリギリ上手く踏みとどまってラストにつないでいったなぁと思った。
「神様はみている。きっと、どんな人のことも。」石川ゆり子さんの帯の言葉も良かった。(ただ神様の視点については、よしもとばなな作品の方が圧倒的な力があるとは思うけど。)
とにかく一読の価値あり!映画化されてるけど、こちらの原作の方が全然いいらしいです。

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)