BOOK

「さようなら、ラブ子」よしもとばなな

特に印象的だったのは、

人間ってばかなもので、明るくふるまっているうちに本当に明るくなってきて、(愛犬の)最後の方の日々は結構お互いに幸せでした。〜中略〜私は、日本人は涙を大事にしすぎていると日頃から思っているので、涙よりも大事なものにいつでも目を向けていたいのです。

という言葉でした。「涙よりも大事なものに目を向ける。」そういう視点を今まで意識した事がなかったので、銀色夏生さんの言うところの「真理の風が吹き抜けていくような感覚」がありました。
基本的に「泣くこと」については、涙を溜め込むと風邪を引きやすくなるよ〜と言うように、人間にとって必要不可欠な生理的活動(?)だと思うし、あえて定期的に自分の体内から「涙を出す」という行為すら必要じゃないの?とは常々思ってはいますが、これはまた違う視点からの、特に「愛する人や愛犬などの死」に対する、一つの真摯な視線であり態度なのかもしれないなぁと思いました。

涙で流す前に、ぐっと一呼吸踏みとどまって、痛いけどじっと見つめる‥というような。そんな、大切な存在を失う前の覚悟であったり、失った後の、その死のとらえ方だったり、今生きている人間にとって、どの段階でも必要で大事な視点が、日記という形で自然に書かれていて、すごく勉強になりました。

ちなみにこれは「yosimotobanana.com」というシリーズの6巻目ですが、ここから読んでも大丈夫!私も気づかずに、5巻をすっとばして6巻を読んでました(笑)